会社創業期の人事労務体制構築方法〜従業員人数に応じてやらないといけないことをリストアップします〜

会社の成長過程によって、人事労務の模様も様々です。

ここでは、会社の創業期にどのように人事労務の体制を整えて行けばよいのか

会社としてやらないといけないことを

簡単にご紹介したいと思います。

※10名規模までの企業さん向けです。

○創業期(創業メンバーだけで頑張っている時期)

会社を設立し、暫くは社長さんや役員の方だけでお仕事をしています。

社長さんや役員の方に役員報酬を支払っています。

そんな時は、会社としての【社会保険の加入】が必要です。

社会保険とは、健康保険と厚生年金保険をまとめたものをいいます。

社会保険の加入

※役員の方は報酬が少しでも発生していれば、原則社会保険に加入することとなります。

会社の登記簿謄本を用意して

健康保険・厚生年金保険 新規適用届】を年金機構(※加入する健康保険が健保組合や国保組合の場合はそれぞれ組合に確認してくださいね♪)に提出しましょう!

そして、それにプラスして、役員の方が社会保険に加入するための

資格取得届】を提出します。

※必要に応じて、扶養の届出も同時に行います。20歳以上の配偶者の方が扶養に入る場合は、【国民年金3号の届出】も忘れずに。

晴れて会社が社会保険に加入できました。

病院などで使う健康保険被保険者証(いわゆる保険証)は、手続きしてからだいたい1-2週間ほどで

会社宛に届きます。

※4月初旬は特に手続きが混み合うので、少し遅れることもあります。

○初めての雇用

業務量が増えてくると、新たに従業員を雇用したいと考える会社さんが多いです。

こうなったときにまず必要なのが労働保険の加入です。

労災保険と雇用保険をあわせたものを、「労働保険」といいます。

労災保険の加入

まず、着手すべきは保険関係成立届の提出です。

従業員を初めて雇用したら

労災保険に加入しなくてはなりません。

労災保険とは、

お仕事中に従業員(役員の方は除きます)が

お仕事が原因で病気や怪我をしてしまった場合に

色んな補償をしてくれる保険です。

労働者を雇用している会社は

全て、加入しなくてはなりません。

ですが、雇用したからといって自動で会社が労災保険に加入出来るというわけではなく

「会社が労災保険加入するようになりました!」という届出を

会社の管轄の労働基準監督署に提出しないといけません。

管轄の労働基準監督署がどこかわからないという場合は

○○市(会社の場所) 労働基準監督署

と検索すればわかります。

手続きをする時、会社の登記簿や許認可証など「この場所で、ちゃんと営業していますよ」という証明になる資料や、

労働者を雇ったことがわかる【労働者名簿】を持っていきましょう。

この【労働者名簿】は会社に備えておかないといけない帳簿の1つです。

労働者名簿には、以下の情報を記入しておかないといけません。

  1. 氏名
  2. 生年月日
  3. 履歴
  4. 性別
  5. 住所
  6. 従事する業務の種類(従業員が常時30人未満の企業は記載不要)
  7. 雇入の年月日
  8. 退職の年月日及びその事由(解雇の場合は、その理由も含む)

厚生労働省のホームページにも書式があるので、そちらを参考にして作っても良さそうですね!

ただ、最近では、人事労務管理のクラウドソフトに従業員の方の情報を入力すれば

いつでも労働者名簿が出力出来るようになっていますね!

少人数であれば無料で使えるものもあるので

試してみるのも良いかもしれませんね。

さて、話が逸れましたが

保険関係成立届と一緒に提出する書類がもう一つあります。

労働保険料を前払いしておくための

概算保険料申告書】というものを提出します。

労働保険料の保険料は従業員の方に支払うお給料の金額によって決まります。

※役員報酬の金額は除きます。役員の方は「労働者」ではないからです。

あらかじめ、支払う予定のお給料の金額に保険料率を掛けて保険料を算出し、

申告書の下にくっついている【納付書】を銀行に持っていって

労働保険料を納付します。

あくまでも「支払う予定のお給料」から保険料を算出するため、

「概算」保険料の申告書と呼ばれます。

じゃぁ、労災加入の手続きの時に支払いすぎたり、不足していた場合はいつか精算しないといけないのでは?

そのために、年に一度【年度更新】と呼ばれる手続きがあります。

この「年度更新」という手続きで、前払いしていた労働保険料を精算するのです。

詳細はこちらのブログにてご紹介しています♪

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雇用保険の加入

更に、週に20時間以上従業員の方が働くということであれば

雇用保険に加入しないといけませんね!

そして、初めて雇用保険に加入する場合は、

会社が雇用保険に加入していないといけません。

これについても届出が必要で、

雇用保険設置届】を管轄のハローワークに提出します。

こちらも、管轄がわからない場合は

○○市(会社の場所) ハローワーク

で検索すると良いでしょう。

この時、上述の保険関係成立届の控

会社の印鑑(今はいらないのかな?)をお忘れなく。

そして、同時に従業員の方の資格取得届を提出します。

これで、晴れて従業員の方の社会保険や労働保険に関する手続きは終わりです。

そして、給与計算を行うためにも

出勤簿や賃金台帳も作りましょう!

これらは【帳簿】といい、会社で必ず備え付けておかないといけない書類です。

人数によっては無料で使えるクラウドソフトもあるので

検討してみてはいかがでしょうか。

創業期あたりはあまりコストもかけられないということもあると思います。

そういうときに、無料でクラウドソフトが使えるのは嬉しいですね♪

ただ、ソフトを選ぶときには将来会社が大きくなって、ある程度ソフトに費用をかけられるようになった時のことを想定し、

データの移行が出来そうなもの

(csvなどで出力出来そうなもの)

を選んでおくと良いと思います!

36協定の提出

従業員を雇ったら、問題になるのは

「残業」。

どうしても従業員に残業をさせる場合は

「こういう理由で○時間残業しますけれども許してください」

という届け出をしておく必要があります。

これが、「36協定」と呼ばれるものです。

36協定を作って、労働基準監督署に提出し、受付印が押されたものがないと

残業させてはいけないのです。

更に、36協定には【有効期限】があります。

従業員に残業をしてもらうのならば期限切れにならないように管理していかないといけません。

○従業員が増えてくる時期

創業メンバーだけではなく、

従業員が集まってきたら

【10人の壁】があります。

会社で働く従業員の数が10名になると

やらないといけないことも増えます。

就業規則の作成義務

従業員が10名になると就業規則の作成と提出義務が発生します。

そのため、従業員の人数か5名を超えてきたあたりから

就業規則の作成というお仕事がある

というのを頭に入れておかないといけません。

就業規則とは、会社で働く上で必要なルール集みたいなもので

法律に則って作られるべきものです。

会社によって「ルール」にはカラーがあるのは当然ですが、

何でもかんでも自由に作って良いわけではなく

法律に違反している条文は無効になります。

たとえば「休日はありません」なんてことを書いてしまってはいけないのです。

就業規則には絶対に書いておかないといけないことが決められています。

(絶対的記載事項といいます。)

そして、会社で定めがある場合には書かないといけない事項もあります。

(相対的記載事項といいます。)

上記を兼ね揃えた【就業規則】を作らないといけないのです。

厚生労働省のホームページに、モデル就業規則も掲載されているので

参考にするのも良いですね!

衛生推進者(安全衛生推進者)の選出

従業員の健康や安全を守りましょう、というようなことが書かれている

「労働安全衛生法」という法律があります。

この法律に則り、雇用する従業員が10名になったら

従業員の健康や安全を管理していく「衛生推進者(特定の業種では 安全衛生推進者)」を選ばないといけません。

衛生推進者や安全衛生推進者は誰でも良いというわけではなく

要件が決まっています。

詳しくはコチラ

人数が増えてきたからこそ、従業員の健康や安全に配慮していきましょうね、

ということなのです。

従業員人数が10名になるというのは、一つの節目なのです。

創業期は、まだまだ社員の人数が少ないですが

今回ご紹介したことについては、きちんと会社として整備していたいところですね!

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